書籍紹介 (1)
上塚 朋子,Pharm.D.
タイトル: Mosby’s Oncology Drug Reference
著者:(編集)Robrt J. Ignoff, Pharm.D., Carol S. Viele, RN, MS, Zoe Ngo, Pharm.D.
出版社: Mosby, Inc.
ISBN: 978-0323028189
サイズ: 21.6 x 13.2 x 2.5 cm
「今日の治療薬」、「治療薬マニュアル」など、ご自身の使いやすい医薬品集を日常よく利用されていると思うが、今回は私が効果的で安全ながん薬物療法を支援するために利用している、医薬品集の1つを御紹介したい。
“Mosby’s Oncology Drug Reference” は、オンコロジー(腫瘍学)の薬剤に特化した医薬品集である。内容はUNIT1~6に分けられている。UNIT1は個々の薬剤の情報がアルファベット順に掲載されており、UNIT2~6は以下のテーマでコンパクトにまとめられている。それぞれ、UNIT2:小児腫瘍学、UNIT3:支持療法(骨髄抑制、悪心・嘔吐、粘膜障害、下痢・便秘、骨の異常)、UNIT4:薬物相互作用、UNIT5:メディケーションエラー、UNIT6:職業上の抗がん剤被爆となっている。
UNIT1に収載されている薬剤は、抗腫瘍薬に加えて顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤、ビスホスホネート製剤なども含まれる。それぞれの薬剤に関して、一般名、商品名、薬効群、薬理作用、薬物動態学的データ、適応、適応外使用、用法用量、禁忌、調整時の注意点、安定性、薬物相互作用、検査値に与える影響、配合変化、副作用、”Special consideration”の項目に分かれている。このなかで特に有用だと思う項目は、用法用量の項目と”Special consideration”の2項目である。まず、用法用量の項目は腎機能・肝機能低下時の用量調節の目安が書かれており、日本の添付文書で情報が得られない場合に、この情報をもとに医師とディスカッションをし、用量の調節を行うことが可能である。また、”Special consideration”の項目は、投与開始前の確認項目、インターベンションと評価、教育の3つに分けて、薬剤師として治療をモニターする上で確認しなければいけないポイント、対処方法、患者教育の要点がまとめられている。
UNIT2,3は薬物治療だけでなく、病態生理もしかりとまとめられている。UNIT4の薬物相互作用に関しては、薬剤の併用によって起こる作用と考えられる機序が表にまとめられているうえに、それぞれ参考文献も掲載されている。この本は白衣のポケットにいれるには厳しいが、持ち運び可能なサイズである。そのため、私はカンファレンスやミーティングでメンバーが全員揃うまでの隙間時間に読んだりしていた。
巻頭言にも書かれているが、特定のがん種に対しての●●療法といったような治療レジメンは掲載されていない。理由は日々の臨床試験などにより変更が起こる可能性が高いからである。しかし、個々の薬剤の基本的な情報リソースとして利用できる点に、この本の意義があると考える。
日本で薬剤師がこの本を利用する場合の問題点は、アメリカで発売されていない薬剤に関しては記載がないことと、日本の添付文書と整合性が取れない場合がある点だと思う。しかし、新しい治療レジメンの参考文献が海外での臨床試験である場合が多いことを考えると、海外での用法用量の指針を参考にしながら考えるための便利なリソースとして利用できる。
| 固定リンク


コメント